悪ノ人生‐ミチ− 第一話 Twins Of Golden
Land.
リンアン:ri
灯世
レオン:re 加々美由亜
サリー:sa じゅら
ルナ:ru
りった
ハイク:ha 柏木まあさ
カイン:ka 鳴海純
メイリー:me おもめ
男の子:bo
椎名円子
女の子:gi MIA
反乱軍兵士a:a
謎の使者
反乱軍兵士b:b 金次
SE 01 波の音
gi01 : こう?
ha01 : ええ、こっちの毛糸を、今度はこっちに通して…
bo01 : 難しいよ、ハイク!
ha02 : お父さんとお母さんにプレゼントするんでしょう?
頑張りましょう。
bo02 : でもー…
SE 02 扉を開ける音
ri01 : 皆、おやつの時間よ。
ha03 : 良いにおいね。
gi02 : あ、ブリオッシュ!
bo03 : やった!サリーのお菓子大好き!
ha04 : それじゃあ、休憩にしよう。
gi03 : いただきまーす!
bo04 : いただきまーす!
gi04 : ねぇ、サリー。
どうやったらこんなに美味しいブリオッシュ焼けるの?(もぐもぐと食べながら)
ri02 : 最高のレシピを教えてもらったのよ。
gi05 : 誰から?
ri03 : とっても…とっても大切な人。
その人の作るブリオッシュの方が美味しいわ。
gi06 : へー。
食べてみたいなぁ…その人が焼いたのも。
ri04 : 今度、食べさせてあげる。
…私が、焼いて…
bo05 : あ!そう言えば、聞いた?パパが言ってたんだけど、赤の国(レッドランド)がやっと落ち着いたって。
gi07 : 赤の国(レッドランド)って黄金国(ゴールデンランド)が前、支配してたとこ?
bo06 : うん。パパが貿易の交渉とかで赤の国(レッドランド)に行ったらしくて。
gi08 : へー。
ri05 : …国は…赤の国(レッドランド)は、平和なの?
bo07 : らしいよ。凄く栄えてたって。
ha05 : 昔と変わったのね。
bo08 : ハイク、黄金国(ゴールデンランド)のこと知ってるの?
ha06 : ええ。昔、少しだけ…
ri06 : そう、平和なのね…
bo09 : サリー?
ri07 : …今日は、静かね。波の音しか聞こえないわ…
SE03 波の音
SE04 反乱軍のざわめき
a01 : 王女はどこだ!
b01 : 探せ!探し出して処刑だ!
a02 : あの悪魔を捕えろ!
b02 : 最上階だ!最上階に王女がいる!
SE05 足音
SE06 扉を開ける音
SE07 騒ぎ声
a03 : いたぞ、王女がいた!
b03 : 軍団長、こっちです!
me01 :
黄金国(ゴールデンランド)王女、リンアン=ミラー=アシュビッツ…
数々のお前の我儘のせいで苦しめられた者の痛み、受けてもらうぞ!
a04 : 捕えろ!
me02 : 地下牢に入れておけ!
ri08 : 無礼者!私を誰と心得ているの!
re01 : 王女!王女を離せ!
ri09 : 嫌、離しなさい!離して!離せ!レオン!レオン!レーンっ!
re02 : リン!
SE08 レオンが飛び起き、シーツがこすれる音
SE09 鳥の鳴き声
re03 : …何て夢を…
SE10 ベッドから降り、着替える音
SE11 カーテンを開ける音
re04 : …今日も、平和だな…
M01 OPENING
ri10 : 悪ノ人生(ミチ)第一話、
re05 : Twins Of Golden Land
SE12 カーテンを開ける音
ri11 : ん…(寝ていたのに眩しさで起きてしまったので不満げに)
re06 : おはようございます、王女。
ri12 : レオン…?(寝起きの声)
re07 : もうすぐサリーが来ます。サリーが来たら着替えて、その後、ルナが朝食の準備を致しますので、食事になります。
ri13 : ご飯何?
re08 : ベイクドビーンズとベイクドトマトをメインに、ベーコンとソーセージ、スクランブルドエッグにパンが数種類。それからフルーツの盛り合わせになります。
ri14 : んー…喉渇いたわ。
re09 : スパークリングウォーターとジュース、紅茶もご用意いたしております。
ri15 : それじゃあ、サリーが来るまで寝るわ。まだ眠いもの。
re10 : そう言っていつも起きないじゃないですか。
ri16 : 寝ーるー。
re11 : 王女…(困ったような呆れたような声色で)
ri17 : レオンが話相手になってくれるのなら起きるわ。
re12 : お望みならば。
ri18 : ちゃんと遊び相手としてよ。他人行儀なのは嫌。
re13 : 王女、私は召使ですので、遊び相手だなんてそんな滅相もない。
ri19 : 寝るわ(拗ねたように)
re14 : ……はぁ…王女、……王女……リンアン(最初は王女、と呼んでいたが反応せず、最後に諦めた感じで名前を呼ぶ)
ri20 : リン。
re15 : リン(呆れたように溜息を吐きながら)
ri21 : なぁに、レオン!(嬉しそうに)
re16 : もうしっかり起きてたんじゃないか…
ri22 : ねぇねぇ、レオン、今日は天気が良いわ。一緒にどこか出かけましょう。
re17 : リン、今日は仕事が山ほどあるんだから、我慢しろよ。
ri23 : えー…レオンの意地悪ー。
re18 : イジワルって…全く…じゃあ、仕事が早く終わったら、な?
ri24 : ホントに?約束よ!
re19 : はいはい。
ri25 : ちょっとレオンー、何、その投げやりな感じー。
re20 : はいはい。
SE13 扉を叩いて開ける音
sa01 : おはようございます、王女。
ri26 : サリー、おはよう!
sa02 : 今日のお召し物を持ってまいりました。お着替えしましょう。
re21 : それでは、私はこれで失礼いたします。
ri27 : え…
re22 : 後ほど参りますので。
ri28 : …分かったわ。
re23 : サリー、後は頼んだよ。
sa03 : ええ。
SE14 扉を閉める音
re24 : 黄金国(ゴールデンランド)、太陽の国とも言われる程明るく活気のある国だった。
太陽に恵まれた土地は様々な作物に恵まれ、何不自由ない国とも言われた。
しかし、気候の変化についていけなかった国は、少しずつ、本当に少しずつ変わり始めて…
少しずつ、本当に少しずつ崩れていった。
そんな時代、黄金国(ゴールデンランド)の頂点に君臨したのは、齢14の王女、リンアン=ミラー=アシュビッツ。
彼女は狂い始めた歯車が確実に加速していた黄金国(ゴールデンランド)で史上最年少で頂点に立たされた。
…時代が悪かったんだ。後に俺はそう思うようになる…そう、時代が…時代が何よりも彼女の敵だった…
SE15 食事をする食器の物音
ri29 : ねぇ、サリー、ルナ。
ru01 : はい、王女様。
sa04 : どうかなさいましたか?
ri30 : 今日はね、職務を終わらせたら外に行って良いってレオンが言ってくれたの。
一緒にお出かけしましょう。
sa05 : わぁ!本当ですか、王女!
ri31 : ええ、サリー、私、お洋服をたくさん買いたいわ。
sa06 : 良いですね〜…きっと可愛いのがいっぱいありますよ!
ri32 : ルナにもお洋服を買ってあげるわ。
ru02 : まぁ、それは嬉しいわ。ありがとうございます、王女。
ri33 : ルナはスタイルが良いから、きっとどんなのでも似合うのよね…
ru03 : 王女こそ、可愛らしいんですから、どんなお召し物でも可愛く着こなせてしまうじゃありませんか。
sa07 : そうですよ、王女。私からしたら2人とも十分羨ましいですけどね…(少し不貞腐れたように)
ri34 : サリーに似合うお洋服も私が選んであげる!
sa08 : 私にも?!
re25 : んんっ(自分の存在を主張するように咳払いをする)
ri35 : 何よ、レオン。出かけても良いって言ったのはレオンなんだからね。
re26 : 仕事を終えたら、と言ったはずです。本日中に終われば、の話ですからね。
ri36 : …サリー、ルナー、レオンが最近私のこといじめるのよ!
ru04 : あらあら、きっと好きな子ほどいじめてしまうお年頃なんですわ。
sa09 : レオンってばガキー。
re27 : サリー!ルナさん!
ru05 : あ、ムキになった。
sa10 : 図星なんだー。
ri37 : あはははっ!
re28 : 全く…サリー、ルナさん、そろそろ朝食の後片付けを。
sa11 : はーい。
ru06 : それじゃあ、王女、今日のおやつも美味しいものを作りますわね。
ri38 : 楽しみにしてるわ、ルナ!
SE16 食器を片づける音
SE17 部屋を出ていく足音と扉が閉まる音
re29 : 全く…王女、少しは王女としての自覚を…
ri39 : レオン、私、リンゴが食べたいわ。
re30 : …はいはい。切りますよ。
ri40 : ウサギのようにしてね!
re31 : かしこまりました、王女様。
SE18 リンゴを剥く音
ri41 : ねぇ、レオン…どうして、レオンはそっちにいるの?(今までとトーンを変えて少し沈んだように)
re32 : は?
ri42 : だって、おかしいじゃない。レオンはアシュビッツの、
re33 : 王女、それはとうの昔に何度も何度も説明されたじゃありませんか。
ri43 : でも!
re34 : 私はレオン=サウンド。サウンド家の人間です。
ri44 : …レオンのバカ。
re35 : ……はぁ、リン、俺は君を護るためにサウンド家の人間としてこっち…王族とは別の生き方をしているんだよ。
ri45 : そんなのレオンのエゴだわ。
re36 : サウンド家は元々王族に仕えていた。養子になってなかったら、きっと、俺は今頃ここにすらいない。
ri46 : …どうして、ココは女が継ぐなんてルールがあるのよ…
re37 : 黄金国(ゴールデンランド)の王族は女系なんだから仕方ないだろう。俺は例外なんだよ。
ri47 : 分かってる…分かってるわ。でも、それでも…
re38 : 良いじゃないか。リンは王女で、俺は召使。一番近くにいて、リンを護ることができる。いつも一緒にいれる。それだけじゃ、ダメなの?
ri48 : ううん、ダメじゃない。
re39 : はい、リンゴ。
ri49 : アリガト(少し不満そうに)
re40 : リン、………仕事が終わったら、美味しい紅茶の茶葉を探しに行こうか。
ri50 : うん!(とても嬉しそうに)
SE19 扉を叩いて開ける音
sa12 : 失礼します。
re41 : サリー。どうかしたのか?
sa13 : それが、青の国(ブルーアイランド)の貿易商と言う者が今、来訪してて…
re42 : 青の国(ブルーアイランド)?海の向こうの島国がどうして…
sa14 : どうするの、レオン?
re43 : 今日は王女の仕事がたくさんあるから引き取ってもらって、
ri51 : あら、海の向こう側なんて面白そうだわ。私、その貿易商って人に会いたい。
re44 : しかし、王女。
ri52 : 他の仕事なら、他の人だって出来るわ。大臣だって誰だって任せちゃえば良いじゃない。
sa15 : それでは、いつもの応接用のところに案内します。
re45 : …あぁ、そうしてくれ。
ri53 : アナタが青の国(ブルーアイランド)の貿易商?
ka01 : お目通りが叶いまして、感謝いたします。初めまして、青の国(ブルーアイランド)より参りましたカイン=トレーラーと申します。
ri54 : 貿易商とお聞きしましたが?
ka02 : はい。青の国(ブルーアイランド)は風土が豊かで、黄金国(ゴールデンランド)では採れない作物が育っています。
私はその作物の貿易を中心に行ってます。
ri55 : 例えば、どんなものがあるんです?
ka03 : お米。
ri56 : お米?
ka04 : こちらにお持ちしています。
ri57 : その、小さな粒が、お米?
ka05 : 鍋と火を貸して頂けますか?
ri58 : それは良いですが…何にお使いになるのでしょうか?
ka06 : このお米は、このままでは食べられません。実際に調理してみせましょう。
ri59 : …ルナ。
ru07 : はい。
ri60 : 彼女が勝手を良く知っています。ルナ、この貿易商に調理場を案内してさしあげて。
ru08 : 仰せの通りに、王女様。それでは、ご案内いたしますわ。こちらです。
ka07 : それでは王女様、一度失礼いたします。
SE20 去って行く足音
ri61 : サリー、どう思う?
sa16 : お米なんて食べたことないから分かりませんが…面白そうですね。
ri62 : そうね…お鍋と火だけで調理が出来るなんて面白そうだわ。
re46 : またそうやって簡単に…(溜息を吐きながら)
sa17 : それに、背も高くて、カッコイイ殿方でしたね、王女。
ri63 : あら、サリーはああいう人が好みなの?
sa18 : あ、いえいえいえ!ただ、近くにあんな綺麗な殿方いないなぁ、とおも、って…(言ってる途中でレオンの存在に気付き、しまった、と思いつつ)
ri64 : あはははっ、そうね、確かにあんなに身長の高いカッコイイ人はいないわ!
re47 : …どうせ俺はチビだよ…
sa19 : わぁっ、ゴメン!ゴメンって、レオン!
re48 : 別に怒ってないから。
sa20 : …目が笑ってない…
re49 : ただ、少しイラッとはしたかな?
sa21 : わー!だからゴメンってばーっ!!!
ri65 : サリー、気にすることないわ。だって、事実だもん。ね、レオン。
re50 : どうせ、どうせ…俺はチビで女顔だよ…
ri66 : もう、いつまでへこんでるの?だからへたれって言われるのよー。
re51 : なっ、へたれじゃなっ、いっ!
sa22 : あはは、ホント、仲良いなー。
re52 : あぁ、もう!サリー、笑ってないで準備に行くぞ!
sa23 : 準備?
re53 : 食事のだよ!あの貿易商が何か作るんだったら、王女がお召しあがりになる準備をしなければいけないだろう。
sa24 : あ、そうだね!
re54 : しっかりしてくれよ…
SE21 食器の音
ri67 : なんだか、不思議な食感…でも、美味しいわ。パンに飽き飽きしてたところだったし、明日の朝からこれが食べたいわ、ルナ!
ru09 : では、仕入れなくてはいけませんわね。
ri68 : レオン、契約を。
re55 : 王女、詳しいお話を聞いてからじゃないと…
ri69 : あ、そうね…貿易商、アナタは何をお求めになるのかしら?
re56 : 黄金国は最近の気候変動のせいで、昔程作物は取れなくなっています。
ka08 : それは存じています。私は今回、青の国(ブルーアイランド)の作物と黄金国(ゴールデンランド)の絹を貿易したいのです。
ri70 : 良いわ。それじゃあ、詳しいことは、うちの大臣と話して頂戴。
ka09 : 本当に?!本当に良いのですか!
ri71 : あら、嫌って言った方が良かったのかしら?
ka10 : いや、今まであまり上手くいってなくて…やっと大きな契約出来た…(少しへたれな感じで心底ほっとしたように)
ri72 : くすくす、面白い人だわ。ルナ、このまま10時のおやつの時間にするわ。貿易商の分も用意して。
ru10 : はい、王女。今すぐに。
ri73 : ねぇ、私、青の国(ブルーアイランド)のことをもっと知りたいわ。えっと…カイン!色々お話しましょう。
ka11 : 私の話で良ければ!
ri74 : ブルーアイランドは島国なのよね?他に面白い食べ物はあるの?
ka12 : 他国に誇れるものと言えば、胡椒を中心とするスパイスですね。
ri75 : スパイス?
ka13 : カレーライス、というものをご存知ですか?
ri76 : カレーライス?どんな食べ物?
ka14 : このお米にスパイスの効いた少し辛いスープ状のものをかけて食べるんですよ。
ri77 : それ、美味しいの?辛そうよ。
ka15 : ええ、とっても。他国では、お米の変わりにナンと呼ばれるものをつけて食べる所もあるんです。
ri78 : カインはそれを作れるの?
ka16 : 材料さえあれば。
ri79 : じゃあ、作って!
re57 :
太陽が一番高い場所で照っていたそんなお昼時。
俺は、無邪気に笑って、無邪気な好奇心で貿易商と話をするリンを見て、心の底があったかい、って思った。
きっと、これが、ごくごく普通の日常の中の幸せってやつなんだ、なんて柄にもなく思ったりして。
彼女のためなら、何を敵に回そうと、俺は彼女の傍に居続けると、誓った。
あぁ、神様。もし、いるのなら…
あの時、俺らが生まれた時、鳴った教会の鐘の祝福が本当なら……
どうか、彼女を明るく照らす太陽が滅びませんように。
ri80 : ちょっと、レオン!今日のお昼はカレーライスが食べたいわ!
re58 : えぇっ!
ri81 : カイン、作ってちょうだい!
re59 : ちょっと、王女、今日のランチはすでにメニューが…!
ri82 : 私は、カレーライスがたーべーたーいーのー!!!
re60 : とりあえず、その前に神様、カレーライスが何かを教えてください。
M02 ENDING